2010/05/22

府内早朝の路地裏で。

iphoneユーザーの方ならわかると思うのだが、iphoneを買った時点(初期状態)で入っているアプリの一つとしてマップというものがある。
グーグルマップをアイフォン仕様にした地図アプリであるこいつは、自分が今現在いる場所をGPS機能で教えてくれたり、目的地までの道順を示してくれたり、その周辺にある銀行やコンビニなんかを探せてしまったりもする優秀なヤツだ。
(あまり知られてないかも?だけど、住所を打ち込む空欄に“銀行”とか“コンビニ”といれたら周辺にあるそれを探してくれる。この機能が驚くほどに優秀でマンション名や店の名前をいれても意外といけます。最近一番驚いたのがparamparaでいれたら出てきたって話)


四月から巷で噂の『ニート』と呼ばれる期間に突入した僕は、世間様の目など気にすることもなく、平日の昼間から土地勘のない場所をフラフラとiphone片手にぶらついたりもしているわけだが、そういうときにこの優秀な地図アプリが大変役にたつ。
が、頭の回転が速いヤツや良い大学に通ってるヤツの中には、良くも悪くも人間的に何かが欠落した人や私生活がボロボロだったりする人が稀にいてたりするように、少々優れものすぎると問題が生じることもあるわけで・・これは数日前の話だ。


近所のコンビニでいつもの立ち読みタイムを終わらせ、うっすらと明るくなってきた空を眺めながら「そろそろ日が昇るのも早くなってきたなー」と、季節の移り変わりを感じたりなんかした深夜4時。
ほどよい涼しさとその時間でしかない街が止まった空気に心を動かされたのか、昼の電車でむかう予定だった大阪市寝屋川区まで僕は自転車を走らせることにした。
僕の住まいは大阪市内。もう少しいえば、ニート以前に働いていた今は亡きサオマイというクラブから徒歩圏内の浪速区である。そこから寝屋川市というのは説明するまでもなくチャリ圏外。どう考えたって結構な距離である。
そんな場所まで突発的にチャリでいくという大学生かニートしかできないような暴走行為。その背中を押してくれたのは、他ならぬ優秀な地図アプリだったのだ。
まずは目的地の住所を書き込む。そしてGPSで現在の場所を表示。画面に表示されている『経路』をPUSH。と、地図上に紫の道標が表示される。最初は車移動を仮定した道標だったのだが、これを徒歩移動にチェンジ。結果、京橋を経由したほうが近いということが発覚。
既に移動を開始してた事もあり、桃谷を経由して京橋へ。さらにそこから地図に示された道を辿って目的地へと進んでいく。思っていたよりもはるかに近い。「この感じでいけば一時間弱でつきそうだなー」なんて思ってた矢先に、、、あれ?ここ行き止まりじゃないですか?
iphoneで現在地を再度確認。あってる。多少GPSがずれてたと考えても、この道しか考えられない。左折することになってるけど・・あ、もしかしてこれですか?
そこには道とは言い難い道、どちらかと言えば人ん家の庭と言われたほうが納得もいく舗装もされちゃいない細い道がぴろーんと伸びていた。近所の小学生が近道とか言って寄り道していくような道だ。
少し戸惑いながらも優秀な地図アプリを信じて進み僕。その先には川があり、チャリがギリギリ乗れるぐらいの橋が架かっていた。橋の先には砂利道。そして民家民家民家と明らかに民家が羅列されている。
僕はもう一度iphoneを確認する。大丈夫か?と問いかけるように最大までUPした画面をみつめる。あってる。この橋を渡り、砂利道に身を投じて民家を掻き分けて進むのだとiphoneは示している。仕方がない。
僕は橋を渡り、砂利道にその足を踏み込んだ。そして見知らぬ民家達が民家民家民家と並んでいる道を進む。その道中で自転車に乗った新聞配達の叔母さんとすれ違う。怪訝そうな顔をしている。そりゃそうだろう。こんな住民以外は通らないような道で平日の早朝から真っ当な仕事をしているとは思えない風貌の見たこともない男なんて怪訝以外の何物でもない。僕だって怪訝に思う。
背中に鋭い視線を受け「大丈夫です。ただのニートですから」と説明にならん説明をしたい気分にかられつつ、僕は急いだ。一刻も早くこの路地からでたい。大きな道に出たい。二車線ぐらいの国道。国道が恋しい。人生で初めて僕は胸に国道を抱き、その道を急いだ。
と、前から再びの怪訝そうな顔。さっきの人よりも不信感を抱いているように思う。この人も新聞配達・・って、さっきすれ違ったはずの新聞配達じゃねーか。そして先に見えるのは砂利道。どう見たって橋渡った直後にあった砂利道だ。あれ?とiphoneを確認。あってる。あってるはあってるけど、さっき通過したはずの場所にいる。iphoneも通過したはずの場所を示している。どこかで逆走した?何処?むしろここは何処?考えても仕方ないので今度はiphone片手に持ちながらゆっくりと移動。ここは右折。その先を左折。そこからまっすぐ進んで突き当り、小学校の前を左折。だあああああああ、やってられん!
ドロップアウトを決めた僕は示してくれてる道標を外れて移動。GPSを駆使しながら、とりあえず国道らしき道にでる。信号がある。車が進んでいる。これが道だ!安堵感に包まれつつ、僕は目と鼻の先になった寝屋川へと急いだのだった。


あとになって確かめたのだが、あの路地裏ショートカットは地図上で見ると確かに相当な近道だった。
大きな道だと『く』の字のように進まなければならないところを真っ直ぐ突き進んだような感じ。そりゃ早い。だけど、真っ直ぐ突き進む道が必ずしも正しい最短ルートとはいえないのだ。小学生の言う近道のようなもので結果的にそれは寄り道になる。同じ寄り道なら場所と時間を選んでしたいものである。
もはや僕にとって必需品と化したiphoneだが、最新機器の優秀な機能に頼りすぎちゃいかんなと。そんなことを再確認できた朝だったのです。

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